Over The Under / DOWN
リアルが忙しすぎて、レビューが購入からだいぶ経ってしまいました。
個人的にかなり待ち焦がれたDOWNの、実に5年振りとなるニューアルバムです。
これ、はっきり言ってジャンル分け難しいんですよね…一応、カテゴリはストーナーにしてあります。まぁなんとかストーナーとしてもいいかな、と思う音楽性で、前作「II」の寧ろZEP的で非常に弾力のある'60~70年代ロックな雰囲気も少しは残しつつ(この辺はベースが元PANTERAのレックスであるところによる部分が大きいでしょう)も、1st「Nola」的な酩酊感・煙臭さが戻ってきています。皆さんの印象はどうでしょうか?
1曲目こそ、PANTERAクラスのメタル的攻撃性が強いサウンドで、前作同様レックスのゴリゴリなベースサウンドが暴れまくります。しかしその後はぐっとスロウダウンし、スラッジーに。そして全編を覆う哀愁。これこそDOWNサウンド!ザクザク、ズリズリと進みますが、今回の彼らは「本気(…”マジ”と読まないほうがいいと思いますwww)」です。1st~2ndの流れを総括しつつも、前作までの無邪気さとは違う。
これは、BURRN!のインタビューを読まずとも、彼の周辺に起こった色々な出来事から来ているだろうことが想像できます(喧嘩別れと言う形になったとはいえかつてPANTERAでの盟友だったダイムバッグ・ダレルの死、そしてニューオーリンズを襲ったカトリーナ等の経験)。さらに同インタビューによれば、フィルは腰の手術を受けて、かなり厳しいリハビリを経験し、ドラッグから抜け出したそうです。そんな心境をしても、あまりストーナーっぽい感触でないことは合点がいきます。
全体としては、フィルの時にアツく、時にむせび泣くような歌唱が印象的で、ストーナー云々・メタル云々というより、一般のロックリスナーに充分オススメできるラウドロック・アルバムといえるでしょう。この作品が、今後のヘヴィ・ロック界のひとつのスタンダード的な評価をされていくだろうことは、想像に難くない。
個人的には、一時期のメタリカが辿り着けなかった地平がここにはあるんではないか。音質自体がうんとこさヘヴィという訳ではないが、沈み込み、大きくのたうつ重さ。サバスゆずりのどんよりとしたヘヴィ・リフにもブルースの風味を強く感じます。この感覚が、メタリカが表現しようと思っても到底出来ない「血」の違いなのか。そんな意味でも、一般のロック・リスナーに聴いてもらいたい作品です。
「”あの”メタリカ程度でかっこいいとか抜かすな!」みたいな。
とはいえ、もうひとつ突き抜けねぇなぁ、という印象も。(決して”イマイチ”というわけではないんですが)
何というか、「奇跡的な」作品とは言えない。とても真剣に取り組まれ、しっかり構成されている―整合性がある、というんでしょうか―作風だけに、破綻せずその代わり爆発的なカタルシスもない。前作のZEP的アプローチや、1stのおおらかさがもう少しあったら、さらに良かったのに…と思ってしまう。
あでも、これはちょっと期待しすぎだったかな?ブルース・プレイについては、マニアックなプレイを追及する和嶋慎治(人間椅子)を聴き慣れているせいかもしれないしw。今回のハイライトはフィルの情感たっぷりの歌+咆哮ですからね。今後はこのバンドがフィルにとってメインになっていくだろうし、今回のように吐き出すべきものが多い環境でなければ、また奔放な音楽性というのも戻ってくるのかもしれません。
あまりマニアックなものを望まず、何よりフィルがロックシーンの前線に戻ってきたことを喜びましょう。
そんなこんなで、個人的評価はまぁまぁ、つうとこでしょうか。
点数:★★★☆☆ [3/5]
オフィシャルサイト→ Official Down
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