ストーナー

2007-11-28

Over The Under / DOWN

リアルが忙しすぎて、レビューが購入からだいぶ経ってしまいました。

個人的にかなり待ち焦がれたDOWNの、実に5年振りとなるニューアルバムです。


III:Over The Under
ロードランナー・ジャパン
RRCY-21299

《タワレコにジャンプ》

これ、はっきり言ってジャンル分け難しいんですよね…一応、カテゴリはストーナーにしてあります。まぁなんとかストーナーとしてもいいかな、と思う音楽性で、前作「II」の寧ろZEP的で非常に弾力のある'60~70年代ロックな雰囲気も少しは残しつつ(この辺はベースが元PANTERAのレックスであるところによる部分が大きいでしょう)も、1st「Nola」的な酩酊感・煙臭さが戻ってきています。皆さんの印象はどうでしょうか?

1曲目こそ、PANTERAクラスのメタル的攻撃性が強いサウンドで、前作同様レックスのゴリゴリなベースサウンドが暴れまくります。しかしその後はぐっとスロウダウンし、スラッジーに。そして全編を覆う哀愁。これこそDOWNサウンド!ザクザク、ズリズリと進みますが、今回の彼らは「本気(…”マジ”と読まないほうがいいと思いますwww)」です。1st~2ndの流れを総括しつつも、前作までの無邪気さとは違う。

これは、BURRN!のインタビューを読まずとも、彼の周辺に起こった色々な出来事から来ているだろうことが想像できます(喧嘩別れと言う形になったとはいえかつてPANTERAでの盟友だったダイムバッグ・ダレルの死、そしてニューオーリンズを襲ったカトリーナ等の経験。さらに同インタビューによれば、フィルは腰の手術を受けて、かなり厳しいリハビリを経験し、ドラッグから抜け出したそうです。そんな心境をしても、あまりストーナーっぽい感触でないことは合点がいきます。

全体としては、フィルの時にアツく、時にむせび泣くような歌唱が印象的で、ストーナー云々・メタル云々というより、一般のロックリスナーに充分オススメできるラウドロック・アルバムといえるでしょう。この作品が、今後のヘヴィ・ロック界のひとつのスタンダード的な評価をされていくだろうことは、想像に難くない。

個人的には、一時期のメタリカが辿り着けなかった地平がここにはあるんではないか。音質自体がうんとこさヘヴィという訳ではないが、沈み込み、大きくのたうつ重さ。サバスゆずりのどんよりとしたヘヴィ・リフにもブルースの風味を強く感じます。この感覚が、メタリカが表現しようと思っても到底出来ない「血」の違いなのか。そんな意味でも、一般のロック・リスナーに聴いてもらいたい作品です。

「”あの”メタリカ程度でかっこいいとか抜かすな!」みたいな。


とはいえ、もうひとつ突き抜けねぇなぁ、という印象も。(決して”イマイチ”というわけではないんですが)

何というか、「奇跡的な」作品とは言えない。とても真剣に取り組まれ、しっかり構成されている―整合性がある、というんでしょうか―作風だけに、破綻せずその代わり爆発的なカタルシスもない。前作のZEP的アプローチや、1stのおおらかさがもう少しあったら、さらに良かったのに…と思ってしまう。

あでも、これはちょっと期待しすぎだったかな?ブルース・プレイについては、マニアックなプレイを追及する和嶋慎治(人間椅子)を聴き慣れているせいかもしれないしw。今回のハイライトはフィルの情感たっぷりの歌+咆哮ですからね。今後はこのバンドがフィルにとってメインになっていくだろうし、今回のように吐き出すべきものが多い環境でなければ、また奔放な音楽性というのも戻ってくるのかもしれません。

あまりマニアックなものを望まず、何よりフィルがロックシーンの前線に戻ってきたことを喜びましょう。

そんなこんなで、個人的評価はまぁまぁ、つうとこでしょうか。

点数:★★★☆☆ [3/5]


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2007-11-02

Sleep's Holy Mountain / SLEEP

最近政治的な内容が続きましたが、またまたろくでもない音楽の(笑)レビューをいたします。


Sleep's Holy Mountain
Earache MOSH079CD

《タワレコで買う》

一応ストーナーに分類しているけど、人によってカテゴライズが分かれるだろうと思われるこの作品…というかこのバンド。

ロッキング・オン11月号では(Gtのマット・パイクが結成したHIGH ON FIREの新作レビューで)「ドゥーム・メタルのカリスマ」としていた。一方『静謐の森』さんでは「スラッジ・コア」と断言しています。で自分の印象としては、ドゥームっぽくもスラッジっぽさもあるが、やはり全体として「ストーナー」としてしまおうと。そういうわけです。

※ループして聴いているうちに、やはりフレーズのつくりはドゥーム、引きずるような風情はスラッジっぽいなぁと気づき、双方のカテゴリにも登録することにしました。

人によって受け取り方がかなり変わる部分を色々持っていて、その分アピールする層が広かった、ということでしょうか。その筋では「神」と崇められるほどのカリスマだそうです。

とにかく言えるのは、聴いていて「何もやる気がしなくなる」音楽だということ。ま~、酒飲んで酔っ払ってひっくりかえって聴くには最高でしょう。しかし嫌な人は最高に嫌なんだろうな~(笑)特に後半は、まともに聴いてるとすんごい気分が落ち込む可能性大(爆)

何しろ、裏ジャケが「ハッパ」。吸ってる姿のイメージなんでしょうか?口に手をやってるメンバーの写真にハッパが重なってます。完全にハッパ主義ですね。なんといっても次作(最終作)「Jerusalem」はマリファナ組曲だそうでwww 歌詞内容なんてまったく精査してませんが、まぁおおかたそんな内容でしょう。はっきりいって、曲の構成もどうでもよくなってくるくらいの内容なんですね、これが。

初期BLACK SABBATHからの影響を感じさせる部分は多々あります。実際サバスからは相当影響受けているらしいです。が、こいつらのはサバスほどまっとうな(?)ロックじゃないです(笑)

最初はブルース音階やらパワーコードでグルーヴィーな爆音ロック、これぞストーナー!という感じ。途中で少々テンポアップ、パンク臭くなったりもします。実際ヴォーカルはハードコア出身、オズボーン部屋~みたいな感じ(なんじゃそりゃ)ですし、テンションが高くなりそうかな~?と思わせたりもするんです。が、どんどん遅くなってスラッジーになり、パワー感は減衰、単音リフでドゥームへ寄って行き、挙句尻切れトンボな終わり方。この頃には、ほぼインストのみに。

そうなるともう、目は虚空を彷徨い体は脱力、脳みそは停止状態。

車で聴くと、運転を投げ出したくなります。家で聴くと、家事なんてやってられません。

次作「Jerusalem」ではこれがほぼワン・リフで1時間続くってんだからすごい。どこを調べても”ストーナー者のバイブル”的紹介しかされてない。はっきり「これ聴いて車の運転はできません。」と書いてるブログもありました。きっとドラッグ無しでトリップできるんだろなぁ…。


う~ん、しかしこのアルバムだって、何度聴いても超絶に退廃的で陰鬱でキモい。

最高です。

ダメ人間志望の方は必聴です。そこのあなた、ほら聴きたくなる…。

私はもうだめです。もうレビューする気が起きません。

点数は、★★★★★ [5/5] (…0でもいいですけどw)

じゃあ、おやすみでごんす。


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2007-07-24

Take As Needed For Pain / EYEHATEGOD

 遅重ドゥームメタル、酩酊ストーナーロックと来て、今度は”スラッジ・コア”。”sludge”=”泥”ということで、泥のように重たく引きずるようなハードコア、ということらしいです。「静謐の森」さんでも”必聴盤”に指定されているくらいで、EYEHATEGODの最高傑作のようです。だいぶ前の作品ですが、私が入手したのはつい最近ですので(笑)レビューいきます!


Take As Needed
 For Pain

Century Media Records
8263

《タワレコで買う》

 「遅い」「重い」とは聞いていたが、噂に違わぬ遅さ!流石「スラッジ」と言うだけあります!まるで弓引きナックルパートみたいな溜めの利いた衝撃性は、レイジ級の凄まじさ、いやそれ以上か。この辺の攻撃性は、ヴォーカルスタイルともどもYouth Of TodayやInside Outなんかの所謂ニュースクールハードコアを連想させます。「クリックになんか全然合わせてねぇぜ!!」みたいな急激なテンポチェンジなども含め、やはりそういったところと同じ系譜にあるのでしょう。特に1曲目、「Blank」の冒頭はモロ、ニュースクールHxCっぽい。しかし一転、ストーナーっぽくなるや、後は更に遅く、ズルズルな粘っこいリフへ!あとは”推して知るべし” です。

 全体を通して、「Black Sabbathや70'sアーリーメタル、ブルースを飲み込み、消化したニュースクールHxC」と言えると思います。静謐の森さんから引用させてもらいますと、

70年代ロックのグルーヴを起爆剤としたハード・コア=スラッジ・コア

ということですので、その辺は間違いないでしょう。ただ、'88年の結成当初メンバーがドップリだったというMelvinsの影響も、避けては通れないでしょう。Melvinsについては未聴ですので、なんともコメントのしようが…(笑) それ聴いてから再考、て感じでしょうか。

 サウンドプロダクションもアンダーグラウンドハードコア然としており、決して良い音質とはいえないが非常に生々しい。特にドラムのRawさ加減が凄いです。写真(リンク先)のリマスター盤にはボーナストラックがたくさん収録されているんですが、それらは1stとの合間などに発表したEP等のもので、まるでスタジオの風景が見えてきそうな位の生々しさ。キックドラムの音が凄まじいです。

 とにかく酩酊しそうに遅いが、遅いからこそそこに織り込むことができる、溜めに溜めて搾り出すような衝撃力は絶品です。ニュースクールハードコアの行き着いた先のひとつがここだった…のか?とにかくこれは大好物!勿論、聴く際は爆音以外ありえませんね(笑)。

 しかし、ジャケや物凄い遅さも「如何に人の嫌悪感・不快感を喚起するか」みたいなところに焦点を絞ってるんでしょうか。最初はホント気持ち悪いかもしれませんが、殺伐としてすべてを叩きつけ、引き千切るような極悪サウンドは、聴きつづけるうちにあなたの脳内でドーパミンをバシバシ分泌させることでしょう。そうなったら最期、もう逃れられません(笑)。

点数は、★★★★★ [5+/5] 文句なし!名盤!


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2007-05-15

Welcome To Sky Valley / KYUSS

 苦労しました。これをまとめるのにえらい時間をかけてしまいました。やっとこすっとこどっこいレビューです。



Welcome To Sky Valley
Elektra 61571

《タワレコで買う》

 デザートロック/ストーナーの大家、KYUSS(カイアス)の3rdアルバム。かけるとまず、ハードコアやメタルの要素を強く感じさせるザラザラしたギターを中心とする、横揺れの音像が耳に飛び込んできました。

 BLACK SABBATHが根底にあるのは間違いないだろうが、もっと荒々しくて、乾燥している印象。まるで荒野の空っ風に巻き上がる砂塵のような音像をしてデザートロックと言われるのでしょう。また、ブルース風味を感じさせる喉を押し潰したようなヴォーカリゼーションが、これまたアメリカの荒野を連想させます。

 音像で特徴的なのは、やはりギター。砂埃を連想させているのは1にも2にもこの音。殺伐として、あくまで繰り返されるリフの冷徹さはHELMETのそれを上回り、あたかも容赦のない大自然のように思えます。しかしメタル特有の金属質なエッジや、切り裂くような鋭さはない。この粗さがファズですかね。おぉ、ファズ!♪ さらにベースのドライブ感・存在感が物凄い。繰り返されるリフの合間を縫って、フィルを強引に耳にねじ込んでくる。これがアクセントとなり、トリッピーな雰囲気にロック然としたカタルシスを生んでいます。

 本作は3つの組曲で構成され(言われなきゃわかんないですけどw)、いずれもメインのリフ攻勢の半ばに静かなパートを内包します。これがまたただ静かなだけではなく、まるで星空を眺めているような気分にさせる位、前後パートとの落差が激しい。リバーブ音やらSEまがいのエフェクトはやはりサバスの「FX」(「Vol.4」収録)を思い出させるが、この構成の中にあって、宇宙との交信でも始まりそうな雰囲気すら漂ってきます。

 さてこれは1994年の作品。「モダン・ヘヴィネス」と呼ばれたバンドが台頭していた時代。またニュースクールハードコアエモの走りといえるものたちも含め、基本的には高いテンションを引きずるものが多かった時代にあって、彼らのどこかしら醒めたような、殺伐としているように思えて、何となく物悲しさが漂う音は珍しい存在だったでしょう。颱風一家の「華氏99度」(廃盤)が同じく'94年。彼らはもっとハードコア然としていて、もっと暴力的な雰囲気ですが、リズムや時折表れる浮遊感など共通点は多く、同時代性を感じます。さらに、DOWNの「Nola」が'95年、WRENCHの「Black Holiday」が'96年、といったところはやはり影響を受けているのか。実際、彼らの影響を受けているバンドはたくさんいるんでしょうね。だって、

ストーナー・ロックの始祖静謐の森さん)

とか

ストーナーロック神TOWER.JP

とか言われるくらいですから。また、荒涼とした佇まいはハードコア発・ポストロックへの方向性すら垣間見える。静と動の対比、という点で考えると以前紹介したENVYとの共通性もないではない。そういったバンド群への道しるべともなっているんでしょうね。

 いずれにせよ、なるべくデカい音で聴くべき音楽ですね、やはり。「要爆音」です。そして、酒でも呑んで、酔っ払ってひっくりかえったまま聴くのが正しい、やはり。・・・私、こんなことばっか言ってて、社会に適応できてませんかね?やはり。

ということで点数:★★★★★ [5/5]


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2006-08-10

Witch / WITCH

今回は、ダイナソーJRJマスキスがドラム()の「Witch」。まぁ、ダイナソーJRの前にはドラマーだったらしいので、特に驚くことでもないんでしょうが。



Witch
インペリアル
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さて、まずライナーノーツが何と、読売新聞文化部の西田浩氏(全然知らん)によって書かれているということに驚きます。ふつう「Music Life」の増田氏とか、「ロッキング・オン」の山崎氏とか、「BURRN!」(またか、って言わないで)の誰々とか、音楽雑誌の名前が出てくるでしょ?そうでなかったら伊藤正則氏、有島博司氏、渋谷陽一氏・大貫憲章(最近はもうあまりやってねぇのかな)とか...

しかし読売新聞ですよ、あの→(ミギ)より(失礼)の...(日経だったら腰抜かしてましたがね)

ともあれ、それによればマスキスがベーシストと一緒に「ハードロックバンドをやろう!」といってはじめたとのこと。それだけでも超デッドなのに、ギター2人(内1名ヴォーカル兼任)はアヴァンギャルド・フォーク『フリー・フォーク』の名でカテゴライズされてるらしい)の注目株バンドメンバーだそうで。これだけで、なんとな~く「普通のハードロックじゃねぇな」という思いが頭をかすめます。

さて、そして肝心の音を聴いてみます。...なんつうか、 アメリカ人ジャムバンドのブラックサバスといった音。敢えて言うなら「ストーナー・ロック」か。私が大好きな方面ですね~(^^♪

因みに、「ストーナー」とは、DOWNとか、Brutal Truthとか、加えるとしたらCathedralも?とにかく グルーヴィーで、激烈テンションであってもバッキンバッキンではない、なんか酔っ払ってる感じのするヘヴィ・ロック を表現します。サバスもこのルーツなのか?当てはまるバンドは多くはなく、語源は「ハッパでキマってる状態」。そのままです。

ていうかドラム、ヨレ過ぎ!二曲目なんて、初っ端から走る走る、爆笑!マスキスのドラムはとにかくテンションで押し切る感じですね、走りまくるけどノリは良い!その内ボナルーとか出たらいいね。ロラパルーザつうよりそっち方面ですね。ブルース風味もある2本の分厚いギターで、 「じゃぶじゃぶ」 やってるような感じ。
そんなこんなで全編同じような雰囲気でひたすら続きますがBURRN!8月号レビュー伊藤正則氏は「聴きとおすには集中力を要する」なんて書いてる)、個人的には非常に気楽に聴けます。曲の構成自体覚える必要もない音楽ですので、気合入れて聴く必要なし。

ただ言っときます、「ヘヴィ」とはいえる音です。バーボンでも軽く引っ掛けてどうぞ。

点数:★★★★☆ [4/5]


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